【トヨタ生産方式】
大野 耐一 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478460019/
○この本を一言で表すと?
トヨタ生産方式の立案・導入・維持を務めてきた人の本。トヨタ創業者2代の凄さを伝える本
○よかった点
・一つの考え方を何十年もかけて徹底的に企業に浸透させることで世界に席捲することになる企業となったトヨタの基を作った、そのプロセスに触れることができました。
・表面的な効率化やIT導入ではなく、「これが合理的に考えることか」ということを一人の人の考え方を通じて知ることができました。
・豊田佐吉氏、豊田喜一郎氏の創業者2代の努力や考え方を知ることができてよかったです。思いとそれを実現するまでにもっていく努力がすごいと思いました。
・ヘンリー・フォード一世を「自分のやり方に拘った偏屈オヤジ」というイメージで見ていたのですが、むしろ柔軟な思考を持っていたことを、この本に書かれているエピソードや著書の引用で知ることができました。
・最後の豆腐と納豆の話が面白かったです。(小学生のころに豆腐の作り方を知った時に「腐ってないやん」とツッコんだことの疑問が解けました)
○参考にならなかった所、または突っ込みどころ
・トヨタ自動車をWikipediaで見ると、初代社長は豊田佐吉氏の娘婿の豊田利三郎氏となっていますが、全く出てきませんでした(別の本でも)。イマイチだったんでしょうか?
・大野耐一氏が「かんばん」の発案者かと思いきや、別の本では鈴村喜久男氏が考え出し、張富士夫氏(第9代社長)が広めたと書いてありました。それに豊田英二氏のバックアップも大きかったようです。豊田英二氏には少し触れられていましたが、創業者を崇める書き口は時代背景によるものでしょうか?
【トヨタ式最強の経営―なぜトヨタは変わり続けるのか】
柴田 昌治 (著), 金田 秀治 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4532149231/
【ザ・ジャストインタイム 現地現物が最高の利益を生む】
フレディ・バレ (著), マイケル・バレ (著), 松崎久純 (監訳), 依田卓巳 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478000468/
○いろいろ読んでみて考えたこと・思ったこと
・豊田佐吉の伝記を小学校の図書室で読んで、子供心に「すごいな」と思いましたが、今になって豊田佐吉の成し遂げたことを知って、その頃よりもさらに「すごいな」と思うようになりました。
・トヨタにおいて機能した「言い出し屋」「ヒラメキエンジニア」「こだわり集団」「説得屋」の役割分担が日本的でおもしろいなと思いました。(トヨタ式P.44)
・「今日の業績向上」はピラミッド型組織、「明日の準備」は仲間集団型非公式組織、という役割分担は日本人文化に合っているなと思いました。(今の若者だと違うかもしれないですが)(トヨタ式P.69)
・トヨタの「七つの習慣」(①相手の話をよく聞く、②何が問題かを考える、③激励・提案する姿勢を持つ、④どうしたら勝てるかの知恵を出す、⑤たがいに相談する、⑥現場・現物主義で事実に基づく、⑦まずはやってみる)が社員に根付けば確かにいろんなことがうまく回りそうな気がします。(トヨタ式P.101)
・トヨタの経営マインドの四つの規範(①どうしたら勝てるのかを考えろ、②仕事は自分でつくれ、③仲間で仕事をする、④シナリオをつくる)がトヨタのように課長や係長に根付けば、部長以上は確かに心強いだろうなと思います。(トヨタ式P.111)
・「変革型の人材」と「管理型の人材」で前者が改革を推進するために必要なのは分かりますが、前者が平時は評価されにくく、見抜く目が重要である、という考え方は「なるほど」と思いました。(トヨタ式P.189)
・「気楽にまじめな話をする場」が仲間集団の醸成にとって必要で、ひいては企業にとって重要である、というのは日本的で面白かったです。(トヨタ式P.200)
・変革のシナリオを描くための四つの要素(①「ありたい姿」を明確にする、②五合目に当たる具体的な目標をつくる、③軸としての判断基準をはっきりさせる、④中核となる人材を発掘・育てる)は妥当だなと思いました。(トヨタ式P.228)
・「ザ・ジャストインタイム」が出版されてすぐに購入して(2007年11月)、海外企業が一から「トヨタ生産方式」を導入する物語を楽しく読んでいましたが、「トヨタ生産方式」を読んでその流れがよく分かりました。